セサミリンゴ

sesame ringo のエスキース的な詩のブログ

贈り物

せきこんでもせきこんでも

引き裂かれた道のどちらかを
選びあぐね

つたっていかなければならない
辿り着くまで

わたしは
たんぽぽの綿毛になると
それは土星からの
最後の贈り物だと気がついた

たしかさ

海の鳥は
まだ重い雲の懷を
はばたき

わたしは
わたしだけになったホームにいる
湿った
木のベンチに座り
所在なく手を膝に組むと
ぬめりとした鉄には
蛍光灯の光が落ち
冷たく
一小節だけ
雨が明減している

駅員は
ダイヤが乱れるかもしれないよ
と書いて
幾枚も紙を貼りつづけた


大雨のあと
薄暗い
高架には
白い羽の化石が浮かびあがり
その頃
有料駐輪場は湖になった

ふづき

きつく
湿った風が日傘を傾けさせる

耳の前に汗が流れ
アイスティーにすれば良かったと
少しぐらいは後悔をする

アール状にはめてあるガラス窓ごしに
本日20%引きの花屋を見ている
レモンを垂らしても
砂糖を入れてもピントの合わない
生温かい飲み物を
ちびちび喉に流し込みながら

杖が倒れる音のする
ファーストフードの席
店員の甲高い声が届いてくる度に
心細くなってゆく

ひとつしかない
羽を
遠くの高い山に忘れてきたような気がした

咳き込み

湿ったわたしの玄関に帰ると
木材を緑に塗装した垣根に
今年はじめての
空蝉をみた
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