セサミリンゴ

sesame ringo のエスキース的な詩のブログ

2013年02月

稜線

「滝の茶屋」という駅がある
いつもの路線と変えて帰宅するときに
通るのだ

昔住んだ事もある

ただ一番海が見渡せる駅だった

過去は美しくも醜くもなく
確かに正しくはないだろう

海が近かったという事実が
全ての言い逃れを
溶かしていく
稜線なのかもしれないと思った

憧憬

この匂いに一瞬憧れる

細い落下は ふっと暖かさを思わせる


白い梅は

透明な蜜をしたたらせるかのように雨粒を纏い
かおりは内包している

「 もうすぐだ 」って桜の木肌が耳打ちする

王様の椅子

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いつまで工事をしているのかな
 ぐるりぐるりと道を巡り
 煉瓦色の建物に呼ばれて行く
 バスターミナル  自転車置場  自動扉を入ると
 「 どこに行かれますか? 」
 カウンターに座った白髪さんに目敏くアテンションされる

 ふーん

 もうたくさん人々は動いているな
やみくもにエレベーターのボタンを押す子供

マスクをしてにこにこ笑っているお婆さん
壁に向かって書類整理をするビジネスマン

胸を張って街をトレッキングする老人たちは
皆ストックを持ってはいるのだが
歩道橋の下で立ち止まっている


 王様の椅子は空だった

野原の時間

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野原に小さな粒のゆきが降ってくる

黒くて尾っぽの長い野良猫は
家の周囲に火の結界をつくりつづけている

左と右の肩に木綿の袋をかけて
掌には傘の柄と鍵と
ビニールのごみ袋の先などを掴んでいる

ごみステーションでは野良猫&カラス避けの
ネットを掛けます
エーイ
ネットが傘の骨に絡んでくる
エイッエイッ
「 おはようございます。 」
という挨拶も忘れずに

障害物は次そして次とつくられます

階段をかけ昇る
電車の扉は閉まっている
少年達のヒーローの制服を着た運転手さんは
もう進行方向しか見ていない

間に合うのか
とても心配だから
野原の草たちの生い立ちを
空想することにする

次の雨の日

けして美しくはないが
醜くくもない朝
雨が降っている

うでの恐竜は濡れて
額から涙のふりをした汗が落ちると
桜の木は樹皮を湿らせてよろこぶのだ

マントの旅人は黄色いキャリーケースを持ち
荷物を支えに立っている

隕石情報の車内放送が流れる

黒い蝙蝠傘はケケッと笑い
持ち主の学生の席を奪い取りつづけているから
ラップに包まれたおむすびは
転がって行った
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