セサミリンゴ

sesame ringo のエスキース的な詩のブログ

2014年10月

うすく明るい

真空管
薄く明るい
嵐の中で静かになるときには
草ばかりを食べて生きる動物の群達が
すーと首を上げて様子を窺うように
まだ明けない夜を過ごす

今は
こころもとなくさせられる虫の羽音も聞こえない
野良猫は姿を隠してしまっただろう
わたしの呼吸だけが音を立てて腹が上下している
枕の位置を変え
手繰り寄せようもない未来をおもうおもいは回廊を巡り続けている

花を手向けよう
もうそこには居ないわたし達に
張り詰めたうすい光線に晒されて

マリアさまの流した涙の粒の中に住みたい

やくそく

大きなくらげの帽子をかぶり
水中を歩くような足どりで
手術室に入っていく
その時のあなたは
どんな匂いを嗅ぎましたか?

水の渦は
薄い緑色のローブを着けたトリトンと
金魚達を吸い込む
自動扉は閉まって

地下なのか3階なのかわからない
たしかに水中ではない空間のエレベーターを昇り
木と石でつくられたラビリンスを歩く

迷い

木々はこころ細く立っている
ステップを踏み唱えながら逃げるわたしの
呼吸を聞く

坂道からバスがのっそりと姿を現した

白いバスタオルを買い病室にもどると
嘆きながら
約束の金木犀の花が咲いた

月とじかん

てのひらで泥に円を描いている夜
皮膚がザラザラに乾いていくうつろいに
「皆既月食だ」と聞こえてきて

一墨ひとすみ
の陰を
かぶせられていく月
海水になった空気をかき分け
歩いていく
海賊たちの古墳へと

ふいに冷たい風に横顔を撫でられる
レモングラスの匂いは鼻を通り
宙ぶらりんの塊になった気持ちは薫製されていく

わたしの肛門からは
ぬらぬらと
気持ちが抜け出して
月とわたしたちとの時間を量る

フック ククック
わずかに
光のような気持ちを掬った


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