街の中には
わき水があり
シルバーのネイルで飾った掌を浸してみると
冷たさは喉の渇いた二の腕に
駈け上がってくる
「この水は飲めますよ。」
老婆が真昼に囁く月を呼ぶ

源泉を想うと
うすぐらい

旅の途中で化粧をなおし
おまいりをしたという
物語を熱いこめかみが聴き
足の指先で
迷路の匂いを辿ると
シャラシャラと水滴が流れ出て

それから
銀狐はニヤリと笑った

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