てのひらで泥に円を描いている夜
皮膚がザラザラに乾いていくうつろいに
「皆既月食だ」と聞こえてきて

一墨ひとすみ
の陰を
かぶせられていく月
海水になった空気をかき分け
歩いていく
海賊たちの古墳へと

ふいに冷たい風に横顔を撫でられる
レモングラスの匂いは鼻を通り
宙ぶらりんの塊になった気持ちは薫製されていく

わたしの肛門からは
ぬらぬらと
気持ちが抜け出して
月とわたしたちとの時間を量る

フック ククック
わずかに
光のような気持ちを掬った


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