真空管
薄く明るい
嵐の中で静かになるときには
草ばかりを食べて生きる動物の群達が
すーと首を上げて様子を窺うように
まだ明けない夜を過ごす

今は
こころもとなくさせられる虫の羽音も聞こえない
野良猫は姿を隠してしまっただろう
わたしの呼吸だけが音を立てて腹が上下している
枕の位置を変え
手繰り寄せようもない未来をおもうおもいは回廊を巡り続けている

花を手向けよう
もうそこには居ないわたし達に
張り詰めたうすい光線に晒されて

マリアさまの流した涙の粒の中に住みたい