ライチでできたジェラートの色が空を覆う
その雲は煙のようにのっそりとしている

しずかな

白木蓮の木では
見逃しそうになる程にまだ小さく
けれど産毛を生やし尖った芽をつけて
花の支度を休まない
煉瓦敷きの歩道からマーキングの匂いが
冷えた空気を連れて鼻に入ってきて

忘れられたこども用の乗り物は横転し
落とされた片方だけの手袋は踏まれている
佇むボールがひとつ
それから
花壇には山茶花の花が咲く


はるかかなたに
ハレーションを起こしたような叢の
白く放たれたなだらかな台地があり
その空を鳥が飛んでいるのだろう