木瓜の花色に
ほどけて躓きつつ

石の階段を登る
アルコールの混じった血液に肺と心臓が
どよめきながらお伴をする

誰もいないから
涙を流してみよう
ぼち
漬物石と病人の重量は転がっている

海が見えたはずの
春の勾配でポカポカしつつ

手当ては終わってね

海と空の律動が同じになったから
郷愁に奪われてしまった者の
初恋と酒
怒号と誇りも
くくく
この小さな窓から蒸発していきました

春の山の烟は
うたかたの流れに運ばれて

花びらは海に鎮んでいく